ビジネスで異文化コミュニケーションを成功させる3つのこと。
kiyukai Admin2019-03-14T23:20:49-07:00−−−グローバル化されたビジネスにおける「異文化コミュニケーション」を成功させて収益を上げるための重要性とは、以下の3点に集約されると考えています。日本人はなぜ「クオリティ」を重視するのか、日本人自身が理解すること、または外国人に理解して貰うこと−−− 異文化コミュニケーションとは、同じ言語を持った日本人同士にでも微かなレベルとはいえ存在しているものであり、その幅と深さ、或いは角度が広がったものが外国の人たちとの間で交わされると「異文化コミュニケーション」になるということを最初に定義しておきたいと思います。 まず日本人側にも「自己理解」、この場合「日本企業理解」が必要です。なぜ我々はそこまでクオリティにこだわるのかをきちんと形にして説明できるようになることが求められます。「大事だから大事なんだ!」では外国人には伝わりません。一般に発展途上の国々では「クオリティよりも使えればそれでいい」の方が重要である場合があり、その場合は「クオリティよりも廉価で多くの人が入手しやすいものを作った方が効率的なのに…」と外国人側が思っている場合も少なくありません。よって日本人がなぜそこまで一生懸命にクオリティを追及するのかということを自分たちがまず明確にわかっている必要があります。 そもそもクオリティ(品質)とはどういう意味でしょうか? ISO9000では「本来備わっている特性の集まりが要求事項を満たす程度」と表現されています。理解を深めるために、例えば身近なところで「食事のクオリティ」と一言で言った時に、同じ日本人同士が同じ理解をするのかということを考えてみます。クオリティという言葉には「クオリティが高い・低い」という言い方ができると思いますが、何を以って「高い」「低い」と言っているかを考えると多岐にわたっていることが実感できます。人によっては、「材料・素材」を指しているかもしれませんし、「味付け」を言っているかもしれません。またある人にとっては「食事自体の栄養価」を表現しているのかもしれませんし、もっと言えば「その食事をとった場所、レストランや自宅や友人宅などの雰囲気」を指しているかもしれません。そもそもクオリティという言葉自体、もしかしたら自身の定義と他人のそれは異なっているかもしれないのです。 製造にかかわる現場では特に「クオリティ」は非常に重視されますが、定義を含めてなぜそんなに大切なのかを伝える必要があります。 以前、タイの日系部品メーカーの社長がメキシコで駐在されていた時のことを私に話してくれました。「取引先から何度かクレームがきており、社長の自分としては一体何が起こっているのか確認したくて現場に向かったのです。部品製造している自社の工場現場に行って驚きました。大きな体のメキシコ人がくちゃくちゃとガムを噛みながら、小さな小さな部品を製造し、作られたねじをその部品に組み込む作業をしていました。 どうみても部品側にそのねじは大きすぎて入らないと傍で見ていたところ、なんと驚いたことにそのメキシコ人は、力でネジを部品の穴に押し込んでしまいました。当然部品の穴はつぶれてしまいましたが、形としては部品となりました。恐らく過去にもそうやって出荷していたのでしょう。」 このメキシコ人も彼なりに考えて、与えられた仕事を与えられた時間内でこなすための方法としてこういうことをしていたのかもしれません。そして誰もこの彼と「クオリティ」の意味や、会社の品質方針を共有したことがなかったのかもしれません。 クオリティが高くないと命の危険性や人を傷つけてしまう可能性もあること、またクオリティが高いから耐久性もあり使い勝手が良く、長くお客様に喜んで使っていただけること。そうすることで社会へ貢献しているということ、その好循環がまわりまわって自社の売り上げが上がり、市場占有率が上がり、そしてスタッフとして仕事をしているあなた達も自社で仕事をすることによって心身ともに満たされていく。こういう一連の流れを日本人・日本の企業は信じているということをまず、自身がきちんと理解し言葉にできることが重要なのです。 私達はカナダでビジネスを行い、外国人を雇うことは避けられない環境の中、「異文化コミュニケーション」の力を上手に活用することで企業としての収益を十分に出している会社もあれば、この力を活用しきれず収益を出し切れていない会社もあります。「異文化コミュニケーション」はグローバル化されたビジネスにおける武器の一つとさえ言えるのです。 企友会理事 松本真子