Photo by Markus Spiske on Unsplash

先日偶然目にしたNHKの『奇跡のレッスン』を観て、図らずも声を上げて泣いてしまいました。

この番組、スポーツや芸術の一流指導者“世界の最強コーチ”が子どもたちに1週間のレッスンを行い、技術だけでなく心の変化まで呼び起こすドキュメンタリーと言うものです。

どうしてこんなに心に染みるのかと考えて見たら、言葉も文化も全く違う最強コーチの方々がたった7日間というとても短い時間の中で子供たちと向き合い、それに答えるように子供たちがみせる変化への順応性とその吸収力そして素直で懸命な姿、この組み合わせにすっかり心をわしづかみにされました。

驚くほどに、どの最強コーチにも共通しているのが技術や知識を教えるその根底には、一人一人の人・心のあり方を育ててあげるためのコミュニケーションを大切にしていると言うこと。

友達に誘われてはじめてみたけどやっぱり辞めようかと思ってた子が見事な能力を発揮したり、これまで全く目立たなかった子が目を見張るような活躍で自信を手にして、他にも能力や才能は十分にあるのにそれをチームとしてうまくいかせない子がその殻から出ることができたり、子供たちの成長や変化も技術だけでなく心にまで及んでいるのが素晴らしい。

日本のコーチ/指導者の方々の勇気も素晴らしいなと思う。彼らも指導者として経験を積み結果を残してこられているのですが、ある日最強コーチがこれまで自分がやってきたことを時には根底から覆すようなやり方を持ち込んで来る。それはきっと頭をガツンと打ちのめされるようなショックであったり、葛藤であったり、そして学びであったりがあると思う。この番組を引き受ける経緯はわたしにはわからないしその指導者の方たちが引き受けたことをハッピーだったのかもわからないけれども、どちらにしても最強コーチに自分の教える立場を1週間譲りその最強コーチが教える場に第三者の立ち位置で直面することはとても勇気のいることであるのは間違い無いと思う。子供たちがスポンジのように変化とチャレンジを学びに変え身に付けているように、日本のコーチ/指導者の方々にとっても奇跡のレッスンとなっていればいいなと願いながら観ているわたしも学ばせていただいている。

わたしもクライアントさんにお声を頂き日本のある学生の方たちへワークショップを何年か行っています。子供たちとは毎回真っ直ぐに正直に向き合わなければ全てを見透かされてしまうような緊張感とともに、スポンジのように言葉や体験をありのまま吸収していく素直さや繊細さに、気持ち良い羨ましさを感じるほどの経験を何度もさせて頂きました。わたし自身も信じていることは、学びは教える側が強要できるものではなく、学ぶ側のその人がその時必要なものを必要な形で手にし、必要な時に活かすことができるもので、その場ですぐに正解を出せなかったことよりもその後に手にしたものを自分のものにしていく過程が学びだと思っています。

最近の人たちはコミュニケーションが取れない、切れやすい、人間関係が希薄ということをよく言われるんだけれども、この番組の中で変化と成長をしていく大人と子供たちを見ていると人の本質は昔も今も変わりなくまだまだそう悪くはないのかもと思わせてもらえる。

最強コーチと出会う初日の恥ずかしげでありながらも表情にはださずそして言葉にしてなかなか伝えない日本の子供たちが、見違えるように輝く目とやる気や自信に満ち溢れる変化を見ると、こみ上げてくる涙が抑えられなくなるのは、わたしが歳を取ったからだけの理由じゃないと思いのですが、どうでしょうね。

企友会理事 美香スミス

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