春先からのコロナがこれほど長引くとは正直思わなかった。ここにきて欧州やアメリカの感染者の急増具合を見てこの感染症は我々の経済と生活を潰す気なのではないかと以前にも増して懸念を感じている。

カナダ政府やBC州政府などから給与や賃料の補填など様々な救済プログラム提供があり、80%の人にはありがたいものだったと思われるが、20%の人には悪い影響を与えたかもしれないと思っている。それは不正受給をしたという意味ではなく、貰うことで楽をしてしまったということだ。

このお金があれば9月までは働かなくてもよいと考えてしまった人は少なからずともいる。あるいは普段はかなり突っ走っていた人が「政府がお金くれるからちょっと休もう」と思った方もいる。もちろん、休まざるを得なかった方も多いが、工夫次第ではいろいろなチャレンジができて、コロナを吹き飛ばすぐらいの改善方法もあっただろう。

私は管理事業の数が8部門ぐらいあるのだが、部門別でみてみると若干の落ち込みがあった商業不動産部門などを除き、多くの部門で売り上げや利益がぐいと伸びた。多いところでは部門利益が5割以上伸びている。何故かといえば容赦なく対策を繰り広げ、コロナだからこそ必要なサービスが何か探し求めたからかもしれない。

例えば書店部門は工夫の連続だったと思う。主要なカナダの大学向け教科書販売が柱なのだが、大学が閉まってしまったことで自社のオンラインショップを大学の購買部と先生からプッシュしてもらい学生たちへの直接販売に切り替えた。それまでのホールセールから個別販売への転換は大きなハードルがあったがチーム一同、やるしかないと一丸になって進めたことが良かったのだろう。

コロナがいつまで続くかわからないが、ここで努力した者とそうでないものでは優勝劣敗が明白な結果として出てくるとみている。どう努力するのかだが、これはどれだけ学校で勉強してもネットを検索しても教えてくれない。

事業者が普段から全天候型のアンテナを張り巡らし、世の中の動きを察知し、一歩、二歩先の展開を実行することを日ごろの癖にすることが大事だと考えている。「機先を制する」という言葉通りでこれをコロナの時もめげずにネガティブにならず、どこかに自分たちのサービスを必要としてくれる人がいるはずだと考え抜く。そして奇抜でもいいからそれに向けて第一歩踏み出すことが重要ではないだろうか?

2020年は地球上のすべての人にとって忘れることのできない年になっただろう。だが、この苦しい時を乗り越えた時、ああよかったと安堵するのと、一気にギアを入れて驀進できるだけの準備をもって機が熟すのを待つのとは大違いだ。

まだ今からでも遅くはない。カウチから起き上がり、この苦しい壁をよじ登ってみようではないか?

企友会理事 岡本裕明

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