我が社(Suihou Canada Enterprise Ltd.)は、2016年にバンクーバー のダウンタウンに”Koyuki Sapporo Ramen Izakaya”を開業しました。また今年になって新型コロナウィルスの感染拡大により外食産業が打撃を受け多くの既存レストランが営業破綻する中、9月にフードトラック事業”Tokyo Katsu-sand”をスタートさせました。世界中の国々で外食産業が大きな打撃を受ける状況下で、敢えて新しい事業の展開に踏み切ったのは以下の考えからでした。

1)コロナ禍という状況で、いかにビジネスチャンスを見つけていくか。現状がピンチであることに変わりはないのですが、これを逆手にとっていかにチャンスとして活かしていけるのか。これからの社会がコロナ前に戻ることはないでしょう。だとしたら、この厳しい状況の中でもいかにチャンスを見つけ前向きにチャレンジしていくことが求められています。ピンチをチャンスとして捉え、新たな事業展開によって売上げの確保や拡大に繋げていくことです。

2)日に日に状況が変わる中、人々のライフスタイルやワークスタイルもまた変化をしています。この変化に対していかに柔軟に、そしていち早く新事業(商品及びサービス)を導入できるか。まさにスピードが求められています。季節が変わり、社会の状況が変われば刻一刻とニーズも変化します。だからこそじっくり考えようとかまずは協議してからということでは、前提条件が変わってしまいかねません。状況の変化に応じて臨機応変に対応するというスピード感が求められるということです。

3)変化するニーズに合わせスピード感を持って事業を展開していく上で重要なポイントは、いかにコストをかけないかということです。言い換えれば小回りを効かせながらローリスクでチャレンジするということです。いかにお金をかけずに小さく始めることができるか。じっくり考えてドンと市場に打って出るよりも、小さく始めて状況の変化に応じて常に変化し続ける。そんな機動性がローカルの中小企業には求められていると思います。

4)これからのビジネスに求められるもう一つのキーワードは「共感」や「応援」ではないでしょうか。社会性を見出すことができるかという意味で、ソーシャルと言い替えても良いかもしれません。コロナ禍で大きなダメージを受けている飲食業や宿泊業、様々な生産業の人たちを支えたいという「応援消費」が拡大しています。またコロナの感染拡大により、人々は直接的な接触を避けるようになってきています。このような状況だからこそ、オンラインで情報を発信し、顧客とコミュニケーションをとりながらビジネスを展開できるかということが極めて重要になります。SNSの活用やクラウドファンディングといったものを上手く活用していくかということが重要なポイントとなります。

5)いかにして変わりゆく市場のトレンドに対して機敏に対応できるか、変わりゆくニーズを捉えるかということに必要となるのが、「考える力」です。コロナ禍によってこれから起きると想定される変化を自分で想像してみることが、これからの変化の予測につながります。新しい生活様式は、仕事のやり方や通勤方法、消費のあり方にも及んでくると思われます。とはいえ自社のビジネスに関して将来の予測をすることは難しいことで、ついつい凝り固まった業界の常識や固定観念に囚われがちです。それゆえ異業種や社会全体を見て、自分のいる業界に当てはめたら一体どうなるのかというような視点を持つことが、今後の変化を予測するうえでとても大事なことだと考えます。

全方位にアンテナを高く伸ばしながら、これからどんな変化や困難なことが起こるのかということをひとつひとつ敏感に感じる。それこそが自社のビジネスチャンスを掴むために大事な視点です。新型コロナウィルスの感染拡大は、単に仕事のデジタル化を行うだけではなく、顧客との関係を見直して新しい関わり方を発見する機会になっているとも言えます。

最後に今回の新型コロナウィルスの感染拡大は多くの面でビジネスに負の影響を与えていますが、旧来の考えを脱して自社の商品やサービスを見直す良い機会であるとも言えます。失敗を恐れず新しいことにチャレンジすることで、企業を次のステージに前進させることに繋がると強く感じています。

企友会理事 松本真子

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