株式会社ひらりの大江亞紀香さんを講師にお招きし、「SDGsをチャンスにする」をテーマにオンラインセミナーを開催しました。SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発な開発目標)の略であり、2015年の国連サミットで採択された国際社会共通の目標です。2030年の未来を見据え、向こう15年間における17の目標と169のターゲットを設定したものです。貧困や飢餓を無くし、社会福祉や教育を充実させるといった内容のものから、クリーンなエネルギーの追求や不平等を無くす、海や陸の豊かさを守るといったものまで、発展途上国から先進国まで全てを含む世界全体での目標です。

現代に生きる人々は未来世代のリソースを先食いして生活しているのが現状です。もし世界中の人々が日本人と同様の生活をした場合、地球が2.8個分必要です。カナダの場合は5個分、世界平均でも1.7個分でありオーバーしています。このままの生活スタイルを続けていては、将来の世代に残す未来が無くなってしまうのです。SDGsを考える上では、「世界は繋がっている」という目線で物事を捉えていくことがポイントとなります。他国で発生している森林破壊や劣悪な労働環境・児童労働は、本当に自分自身と無関係のことでしょうか。先進国での低価格追求の激化や行き過ぎた消費主義が根本的な問題の原因であり、負の連鎖を助長している虞があることを認識する必要があります。

セミナー半ばでは、大江さんに世界各地でのSDGsの事例を紹介して頂き、日本でも大企業に限らず中小企業や個人レベルでも取り組みが行われていることを知ることが出来ました。徐々にお金の流れに変わり始めており、単純な満足や利益を追求するのではなく、環境・社会に良い影響をもたらす投資・消費であるかどうかがフォーカスされるようになっています。仕入先や販売先等のステークホルダーも含めてSDGsが考慮されているかも評価されるようになっている為、ここがチャンスであり、また脅威にも成り得ます。SDGsの取組有無が社会の判断軸となり、消費や雇用といった経済効果に結びつきます。つまり、SDGsの取組は差別化や付加価値の創出となり、「選ばれる企業」になることに繋がります。

大江さんに講義を頂いた後に、ブレイクアウトルームに分かれ、「好きなこと・得意なこと・会社のリソース」と「地域、社会の課題」を挙げ、ランダムにそれぞれを組み合わせてどのようなビジネスや活動が出来るか議論をしました。最後に全体で各グループが発表をし、出てきたアイデアを共有しました。

SDGsに係る問題は複雑に絡み合っており、明快な解決策・打開策を得ることは容易ではありません。あるべき未来の姿をイメージし、その為に今何をすべきか、バックキャスティングで考えることが一番の近道かもしれません。今後1年間SDGsをテーマに、ばんてら(バンクーバー寺子屋)にて同様のアクティビティを実施して、新たなアイデア出しの議論を行い、見識を深めていく予定です。

企友会ボランティア 三崎 望樹広

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