2021年度第2回目のばんてらは、「バンクーバーの格差を無くすには?」をテーマにオンラインで開催致しました。SDGsの目標1~3は「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」と、それぞれ格差問題と関係があるものです。バンクーバーに焦点を当てて考えてみると、ホームレス及び大麻・ドラッグ中毒者の増加、移民受入の拡大、不動産価格の高騰・・・と別々の問題がそれぞれ複雑に絡み合っていることに気がつきます。問題があまりにも深刻かつ重大である為、政府マターなのではないかと尻込みしてしまいがちです。

そこで、実際にバンクーバーでこの問題に取り組んでいる事例に目を向けてみました。企友会会員のビザJPカナダさんは、セミナー参加費の全額を若者ホームレス援助活動をするCovenant House Vancouverへ寄付されています。やむを得ない事情でホームレスになってしまった若い世代がもう一歩踏み出し、彼らが現状打破するのを後押しするサポートだと思います。

Source:ビザJPカナダ (https://visajpcanada.com/sdgs/)

その他にも、私設フードバンクを設置して食べ物が必要な人にシェア出来る仕組みを作られた方や、余ってしまった料理を閉店後にホームレスの方に提供する飲食店等、出来る範囲で取り組んでいる事例があることについても学びました。

しかし、それらの取り組みには同時にリスクや問題を抱えています。シェアした食べ物が原因でもし食中毒が発生してしまったら・・・取り組みが原因で既存の顧客が来なくなってしまったら・・・。そして、そもそもホームレスや麻薬中毒者は現状を変えたいと思っているのか、疑問が残ります。日本とカナダでは価値観が異なるため、問題に対するアプローチもきっと異なるのでしょう。下記グラフはホフステードの6次元モデルです。日本とカナダの他に、移民人口の多いインドと中国のデータを表しています。日本はUncertainty Avoidance(不確実性の回避)が他国に比べ高く、あらゆるリスクを想定して準備する傾向が高いことを表しています。一方、Individualism(個人主義性)に目を向けると、カナダは極めて高いです。日本人は、将来に備えて準備をし、周りに迷惑をかけないよう協調を重んじますが、カナダ人は現在のあり方を重視し、周りよりも自分がどう思うかを大切にする傾向がある、と言えるでしょう。このような文化的違いを鑑みれば、問題の発生原因やその対処の仕方を、一概に言うことは容易ではないでしょう。

あらゆる問題に焦点を当て、参加者それぞれの視点と意見を交換することが出来ました。今回の時間だけで具体的な解決策や実践すべきことを導き出すこと出来ませんでしたが、問題を深掘りし再認識する機会となりました。「バンクーバーにおける日系人間での格差」と問題を絞り込めば、取り組めることが見つかるかもしれない、との意見もありました。

次回のばんてらは8月を予定しており、オンラインではなく対面での開催を検討しております。より幅広い視点で、どんなSDGsに係る取り組みが出来るかについて、皆さんと議論出来たらと思います。たくさんの方のご参加をお待ち申し上げております。

企友会ボランティア 三崎 望樹広

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