2021年度第三回ばんてらは、今年初となるパティオでの対面形式で開催しました。スペシャルゲストとして羽鳥総領事もご出席され、幅広い分野・年代でのディスカッションとなりました。今回は前半でコロナ禍での仕事の変化として「リモートワークのメリットとデメリット」、後半では、「企業はSDGsに対してどう向き合うべきか」についてが主な議題でした。
コロナ禍での密集を避けるために導入され始めたリモートワークはもはや世界中に浸透しています。ストレスフリーな環境で働くことができることや、遠方に出張して直接話していたことがリモート会議のになりより効率的になり、逆に意思疎通がスムーズにできるなどの事例がでました。しかし、一方でコミュニケーション不足によるビジョンや知識の共有不足や、生活と仕事の切り替えが曖昧になってしまうことによるモチベーションの低下も懸念されます。
これらのメリットデメリットを考え、リモートワークとオフィスワークのハイブリッド化をする企業が増えてきているようです。コミュニケーションの場を設けるだけでなく、荷物受け取りなどのオフィスにいく必要がある細かい作業も分担して行うことができます。またマスクにより表情が見えづらくなる時はあえてリモートでのコミュニケーションをとるなど、リモートワークとオフィスワークをうまく使い分けることが重要なってきています。
後半ではSDGsと企業との関係についてのディスカッションとなりました。企業にとってSDGsへの取り組みは莫大なコストがかかり大きな負担になるという意見が多くありました。しかし若い世代のSDGsに対する関心は着実に高まってきており、また銀行やステークホルダーはSDGsへの関心がない企業には投資を拒否するようになってきています。SDGsへの取り組みをおこなうと負担にはなるが、やらないともっと大きな負担になる時代になりつつあるのです。
大々的にSDGsに関する投資をしていく大企業に対してスモールビジネスを展開する中小企業はSDGsへの取り組みをどう行えばいいのでしょうか?一つの案としてClimate Smart というものがあります。これは、企業に対してカーボンフットプリントをデータ化して提供し、その量を効率的に減らせるよう支援するものです。これによりより手軽かつ現実的に環境への取り組みを行うことができます。また、SDGsへの取り組みからコストを削減することもできます。例えば、社内で使う書類をデータベース化し、資源を守りつつコストを削減するという方法があります。面白いことに、紙の契約書から電子契約書にすると収入印紙によって納付する税金である印紙税を払わなくなるという思わぬメリットもあるのです。SDGsをうまく経営に結び付けていくことは最重要課題に一つになっていくでしょう。
今回の討論で新しい知識の共有やさまざまな問題・視点を見つけることができました。最後には「SDGsに対する取り組みはそもそも正しいのだろうか」という興味深い意見もでております。急速に広がるグローバル化の中で、目まぐるしく変化する情報社会の中で、私たちはどう生きるか。まだまだ議論は尽きません。次回のばんてらでさらに詳しく掘り下げていきたいと思いますのでぜひご参加ください。
企友会ボランティア 松島海斗