2022年の初めのイベントとして、久田領事をお招きした懇談会を開催致しました。「バンクーバーに着任して感じること」をテーマにざっくばらんにお話頂きました。

 

多くの日本人は何故かカナダに対してポジティブな印象を持っているのではないでしょうか。特にバンクーバーは、旅行先、留学先、ワーキングホリデー先として選ばれる都市であり、訪れる前から友人やメディアを通して良い印象が植え付けられているからなのかもしれません。また、カナダG7の一国であり、国際的都市としてのプレゼンスが高いこともその要因の一つでしょう。

 

ブリティッシュ・コロンビア州(以降、BC州)が掲げるバンクーバーの都市としての魅力は大きく以下の4つに分けられます:(1)投資環境、(2)優秀な人材、(3)イノベーション、(4)ロケーション。この4つのファクターは、実は多くの国際都市でも同様の項目が掲げられています。実際のバンクーバーはどうなのか、久田領事のお話を受けて企友会会員も意見交換をしました。

 

(1)投資環境
バンクーバーに所在する外資系企業は1,000社以上あり、それはBC州の約1/4を占めます。一方、東京における外資系企業は1,829社(2020年度)ですが、全体での企業数は24万超である為、東京と比較してバンクーバーがいかに外資系企業を多く誘致しているかが伺えます。バンクーバーはカナダ国外からの投資を歓迎しており、参入・投資障壁が低いことがその魅力として挙げられます。アメリカ市場が近く、北米のマーケット開拓やテストマーケティングを実施する場所として適切であることも強みでしょう。

 

(2)優秀な人材
バンクーバーにはブリティッシュ・コロンビア大学、サイモンフレイザー大学やビクトリア大学をはじめとする有力な大学がある為、優秀な教授や研究者、学生が集まる環境が構築されています。特に、ブリティッシュ・コロンビア大学はスタートアップ企業を支援するインキュベーションプログラムも有している為、起業家にとっては望ましい都市でしょう。政府が移民受入に前向きであることも、優秀な人材が集まる要素の一つです。最近ではカナダは年に40,000人近くの移民を受け入れており、それは国民全体の1%を占めます。他国と比べて永住権取得プロセスが比較的簡易である為、移住先として選ばれやすくなっていると考えられます。

 

(3)イノベーション
スタートアップ企業がバンクーバーに多く集まっていることもあり、イノベーションが生まれやすい環境が整っています。最近では、日系企業がバンクーバーのイノベーション企業との事業提携する事例も増えています。LifeVancouverさんのウェブサイトでも紹介されていますが、カナダの5ドル札のデザインは宇宙なのですが、描かれているスペースシャトルのアーム部分はカナダ企業が開発とのことです。日本の紙幣ではそのようなデザインはなかなか想定出来ないですね。

 

(4)ロケーション
バンクーバーからは100都市以上に直行便が飛んでおり、各都市にアクセスしやすいことも魅力の一つです。政治的にも安定しており、また一年通して穏やかな気候なことも強みと言えるでしょう。実は、都市計画にもバンクーバの魅力の秘密が隠されています。バンクーバーでは、ほとんどの幹線道路から壮大な山の景色が見えますが、それは景観を壊さないように道の先に高層の建築物を立てないよう都市計画がなされているからなのです。カナダでも他の都市ではそういった配慮はなされていない都市も多いようです。また、アメリカと異なり、何車線もある高速道路が街を分断することがないように街がデザインされています。

 

今回の懇談会では主にバンクーバーの魅力にフォーカスして話をしましたが、実際にビジネス・生活をするとなると様々な課題や困難な点も見えてきます。近年はバンクーバーの物価は上昇している中、賃金はそれほど上がっておらず貧富の格差は広がる一方です。不動産価格の高騰や破壊的イノベーションによって、従来よりもバンクーバーでのビジネスの成功のハードルは高くなっています。そういった懸念要素を分かりつつも、それでも「やっぱりカナダ・バンクーバーが好き」「ここで挑戦したい」と思う人が企友会に集まっていると、今回の懇談会で改めて皆さんと確かめ合うことが出来ました。この後の企友会イベントやばんてらを通して、バンクーバーでどのようにビジネスを進めていくべきか、意見交換をしていきましょう。

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