今から三年ほど前、私は日本に一時帰国する際にどうしても再び行きたいお店があり、Google Mapでお店の名前を調べたことがありました。

そのお店は個人的には「世界一おいしいだし巻き卵が食べられるお店」であり、友人を連れて行っても同じ理由でリピーターになってくれるお気に入りの場所でした。

有名になって予約が取れないお店になっていたらどうしようと思っていたのですが、予想に反してスマホの画面に表示されたのは “Permanently Closed” の文字。自分の中で大切なお店が、ひとつなくなっておりました。

振り返って思うと、恐らく店主さんもオーナーさんも、口コミで頻繁に書き込みされている「だし巻き卵」には注目していない様子でした。

お店に行った際、店主さんにそこのだし巻き卵がいかに美味しいかを伝えても「僕は食べないし、わかんないんですよ」と気にした様子はなかったし、飲食店紹介サイト上の紹介でも「日本酒の豊富さ」をアピールしている記載が変わることはありませんでした。

お店の都合やマーケティングの方針もあると思いますが、もし口コミで取り上げられている「だし巻き卵」を強みとしてもっとアピールできていたら・・・未来が変わったかはわかりませんが、そのようなことを考えさせられる出来事でした。

なぜこの話をしたかと言うと、私自身がビジネスをスタートできたのは、逆に自分のもっている価値を「知ってもらえた」からだということをお話したかったからです。

そしてビジネスを続けるには「価値を知ってもらい続ける努力をする」必要があるとも確信しています。

私自身は現在Webサイトの開発や運用について、ありがたいことに複数の企業様から相談を受けてビジネスをさせて頂いているのですが、これをスタートできたのは某企業の社長様が私のことを覚えてくれていたからでした。

はじめ語学留学生としてカナダに渡航していた私は、当時利用させて頂いていた留学エージェント様のオフィスに度々訪れて、文法書を借りたり単語帳をめくったりしていました。週に3度も4度も尋ねるので、オフィスのスタッフの方々とも知り合いとなり、自身がエンジニアだということも話していたため、やがてパソコンの困りごとなどをこっそり直したり教えてあげたりすることが何度か起きるようになりました。

また、オフィスやそのエージェント様のイベントにも多く参加していたため、社長様ともお会いする機会も何度もあり、顔だけは覚えてもらっておりました。

それから月日が経った頃、ある時その方から「うちのサイトに機能を追加したり出来ますか?」とお声掛けいただきました。それが私のビジネスのスタート地点です。

覚えてもらおうと意識していたわけではありませんでしたが、恐らく「うちのオフィスに出入りしているパソコンに詳しいやつがいる」くらいに覚えててくださっていて、そこにたまたま需要が重なったおかげでこの機会に繋がったのだと思います。

ITスキルがあるということと、私自身の存在、どちらも彼に知られていなければ、このチャンスは起きえなかったでしょう。

私の場合は「ビジネスを始めたくて始めたくて仕方がない」状態ではなく幸運なきっかけからはじまったことですが、これからビジネスを始めたい方は特に能動的に「知ってもらう」活動を続けるべきでしょう。偉そうな言い方になってしまいましたが、これからビジネスをスタートしたい方、私のようにスタートしたての方に、何か気づくきっかけになれば幸いです。

皆様のビジネスの「だし巻き卵」が見つかり、多くの方に認知され発展できますように。



企友会理事 佐藤 悠貴

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