ビザJPカナダ/ 人材カナダ
ビジネスオーナー
白石有紀さん
アメリカの大学を卒業、ニューヨークでの就職を経て、カナダの永住権が取れたことをきっかけに20年ほど前にバンクーバーに移り住む。最初はバンクーバーのJCBで働いていたが、地元バンクーバーのコミュニティに貢献したいと思い、ビザJPカナダで移民コンサルタントとして働くことを選ぶ。移民コンサルタントとしては、お客様に親身に寄り添いつつ、あまり深入りしすぎないことを信条に、今まで多くのお客様のカナダ移住やビザのサポートを行う。ビジネスオーナーとしても2つの会社を運営しており、常にビジネスの新たな機会を考えている。
最初は雇われからのスタートで、部署ごと引き受ける形でビジネスオーナーに
Q.自己紹介をお願いします。
白石有紀です。今はビザJPカナダという会社と、人材カナダという会社の両方のビジネスオーナーをしています。で、企友会では会長をさせていただいています。
Q.ざっくり両方のサービス(ビザJPカナダ/人材カナダ)に関して説明いただけますでしょうか。
すごくざっくり言うと、「人材カナダ」というのは、カナダ国内のお仕事を掲載しているウェブサイトです。で、有料の広告も無料の広告も出しているんですけれども。そこで雇用主さんが従業員を探す。で、そういう雇用主さんのお手伝いをするということですね。
それとあとは、雇いたい人がいました、その人は働くビザが必要ですとなったときにどうしましょうということで、「ビザJPカナダ」という会社があります。ビザJPカナダで、就労ビザだけではなく、学生ビザですとか、ワーキングホリデービザですとか、永住権ですとか、ビザ関係は全部お手伝いをするというような会社になっています。
Q.カナダに来て、最初から人材カナダで働いていたのでしょうか?
私もともとアメリカのJTBで働いていたんですけど、子供が生まれるタイミングで一回日本に帰ったんですよ。
JTBは大きな会社なので、ビザ申請だけをするという部署があったんです。そこでマネージャーをやったんです、3年ぐらいかな。それで、バンクーバーに永住権が取れたので来て、そしてバンクーバーのJTBでも働いてたんですけど、ちょっと違うこともやりたいなと思っていたときに、そういうビザの申請をしたりしたことがあるんだったら、ぜひ(人材カナダのビザ部門を)やってくださいよという話があったんですね。
私、もっと地元というか、コミュニティに貢献するような仕事ができたらいいなと思っていたんですよね。JTBの仕事は、日本から来るお客様のことを手伝うというか、ケアするというか、日本にいるお客様のために現地でやるっていうような、そんな感じの仕事だったので、現地のコミュニティの人たちに向けて何かやっているわけではなかったんですよね。
もっと現地の人たちに何かしたいなとは思っていた。それで何か他にできることないかなって思っていたところにそういうお話があったので、やってみようかなと思いました。
Q.実際に移民コンサルタントとしてどんなお仕事をなさっていますか?
まずお客様が、なんとなくカナダ住んでみたいんだけどとか言ってどうすればいいですか?って問い合わせフォームから連絡をくれる。で、その方の何がしたいとか、どういう経歴があるとか、そういうことを聞いて、それで移民コンサルタントのコンサルティングの部分でどうしましょうっていう話をして、どうやって進めていきましょうという話をして。やりますとなったら、そしたらビザの申請。じゃ最初にそうだな、ワーホリから始めましょうとか、学生ビザから始めましょうとか、そういう流れを作ってきます。学校を決めて学生ビザを申請するとか、ワーキングホリデービザを申請するとか、ビザの申請も丸々代わりに代理でやります。で、ワーホリビザ取れました。じゃあ仕事を探します。それから、じゃあ色々面接してここに決まりそうだけど、これで永住権につながりそうですか?っていうことも相談してもらって、例えば「もうちょっとお給料上げてもらった方がいいよ」とか、「もうちょっと働く時間を増やしてもらった方がいいんだよ」とか、そういう話をして、場合によっては雇用主さんと直接私がお話をして。まず就労ビザが取れるような状態に持っていく。で、就労ビザの申請もまた代理でやる。就労ビザが取れたら頑張って英語のテストを受けてねという話をして、で、英語のテストを受けたら永住権申請しますとか。一般的にはそういう感じで日本で漠然と海外に憧れている人をちゃんと永住権取れるところまで持っていってあげるっていうのを、ずっと一連のお手伝いするっていうのが私の仕事です。
Q.移民コンサルタントになるには、どういった資質が必要でしょうか?
資質としては、人のことを客観的にちゃんと見れるとか、あとはちゃんとその人の気持ちに寄り添ってあげられるとか、何かそういうとこ。あとは、だけどその人のことばかりずっと考えちゃわない、変な言い方だけど。割とそういうところをドライにしておかないと、いろんな人の人生を背負うから。だから仕事の時は、その人とお話ししている時はお話ちゃんと聞いてあげるし、もちろん一生懸命考えるんだけど、それ終わったら比較的ぱっと気持ちが切り替えられるような人じゃないとすごい大変な仕事だと思うんです、移民コンサルタントって。
あとは、やっぱり人生経験がある人じゃないと、あんまりいいアドバイスはできないんですよ。その人の人生というか、進み方、どういうふうに先へ進めていきましょうとか、結局最終的にあなたはカナダで10年後に何をしてたいの?とか、そういうイメージありますか?とか、そういう話もしないといけないので。自分が今までしてきたいろいろな経験を全部その人の相談に当てるというか。だからね、あんまり若い人より、多分かえって私みたいに年齢がいっている人の方が、説得力のある話がお客様にできるんだよね。
あと、子供連れというか、家族で永住したいとかいう人に、子供の学校どうとかいう話も、やはり子供がいるからこそできるじゃないですか。あと「カナダの学校に行くのどういうところが大変ですか?」って質問に、自分が行ってるから話せるじゃないですか。だからそういうところがね、仕事の経験というよりも人生経験みたいなのがいっぱいある人の方がやりやすい仕事かなとは思います。
Q.ビジネスオーナーとしての大変なところはなんですか?
(会社は)今人数が増えて、最初の7人から今15人なので。何かやっぱりその皆さんをまとめるとか、皆さんに楽しく満足して働いていただけるような環境を、会社として作るとか(が大変)。
あとはやっぱり会社がうまくいかなければいけないじゃないですか。だから、今のやり方のままでいいのか、もっと違うことができないかとか、そういう会社としての方針みたいなのを常に常に考えている。
何かニュースを見れば、これって私のビジネスに何か取り込めるかなとか、誰かが何やったとかという話を聞くと、そういうことをうちの会社でもできるのかなとか、何かそういう会社のことは常に頭にあります。
Q.ビジネスオーナーとしてのやりがいはなんですか?
ビジネスが大きくなるとか、すごい儲かるとか、そういうところがやりがいではなくて。私の場合は、ビジネスオーナーとしてのコミュニティに貢献できたなって思うときかな。
いろんな会社のオーナーの方に、その従業員のビザとか、従業員の永住権取れましたとか、そういったことに協力ができたなという時だったりとか。やっぱり「あなたの会社に頼んでよかった」と言ってもらえる時とか。
なので、私がやった仕事に対して「移民コンサルタントの白石さんありがとう」と言われるよりも、あなたの会社のコンサルタントの何々さんがすごく良かったとか、うちのアシスタントをしている何々さんがすごく親身になってくれましたとか、そういううちのスタッフのことを評価してくれるっていうのも、すごく私はやりがいを感じます。ビジネスオーナーとしては。
Q.今までのキャリアで、最も大きなチャレンジと、どれをどのように克服したか教えてください。
私の今までのキャリアの中で一番のチャレンジは、やはり(ビザJPカナダが)自分の会社になった時ですね。
元々は本当は、自分だけで独立しようと思ったんですよ。そこの会社で働いていたけど、もう随分会社に貢献もしたし、そろそろ自分で独立しようかなって思って。移民コンサルタントの資格も取って5年ぐらい経ったし。だから、私は私一人+アシスタント一人でやろうかなって思っていたんですね。じゃあ退職しますという話をしたら、そこのビジネスオーナーの方が今退職するんだったら、そこの部署ごと全部買ってくださいよということを、そういうお話をいただいたんですね。
部署ごと買うというのは、結局そこのスタッフの人も全員引き取ってくださいよということだったんですね。すごくその時に悩んだんですけれども、いいお話ではあったし、せっかくそういう風に言ってくださる、基本的には「与えられたチャンスは挑戦しよう」というような昔からそういう考え方なので、せっかくそういう風に言ってくださったし。売買する条件も比較的いい条件でオファーしてくださったので、じゃあやってみようかなと思って買った。
買ったは、買ったんですけど、従業員も当時で7人かな、みんな引き受けたんですね。やっぱりなんだろう、スタッフみんなの人生を引き受けた感じがした。自分だけでやろうと思ってたのに、いきなり従業員7人みんなを食べさせていかないと私が、って思って。でもお給料を払えなくなっちゃったりしたら困るから、もう、だからこれはしっかりやらないとと思った。
チャレンジングなことというよりも、そこのメンタル的なところ。頑張んなきゃいけないよね。これって後に引けないよね、ていう感じ、それがあった。
でもまあ、みんなもずっと一緒にやってくださっているスタッフだったし、「皆さんこういうわけで別の会社になるんだけれども、来る?」って言ったら皆さんぜひと言ってくれたので、そういう皆さんの頑張りもあり、私一人だけではこんなふうにできないんですけど、皆さんも協力してくれて、だんだんとさらにビジネスが大きくなっていったという感じなので。克服というよりも、皆さんにも一緒に頑張っていただきながらやってきたという感じです。
Q.今後、国内外でどのような新たな機会や市場を見据えていたりしますか?
日本からのカナダ移民のパーセンテージってすごく低いんですよ。全体のカナダに移民する人たちの6%ぐらいなんです、日本人って。私は6%のところしか今はやってないわけですね。このわずか6%のところを、他の移民コンサルタントの会社とかも取りに来ているわけですよ。すごいちっちゃいの。だから、あとの94%もやりたいとは思ってます、徐々に。
あとは起業をしたいという人たちのことを、ビザだけじゃなくて、何か会社を設立する、それに関わるいろいろなお手伝いとかもできるといいかもねとは思っているんですね。まず従業員を探す前のインフラを整えるところとかはうちでやってないので、今は全然。そういうところもお手伝いできるのもいいかなと思ったり。
なんかいろいろ思いつくは思いつくんですけど、だからいろんな人といろんな話をすると、うちの会社はそういうこともできるかもねとか考えるので、全部メモする。で、メモして、どれが一番できそうかなとか、どれが一番世の中のためになるかなとか。なので、今大きな2つの例を言いましたけど、いろいろ常に考えています。
アメリカでの大学生活・就職を経て、バンクーバーの人の優しさに驚く
Q.いつカナダに来たんですか?
カナダに来たのは20年前ぐらいなんですけど。もともとアメリカの大学に留学したんですよ。アメリカの大学に留学して、アメリカの大学卒業して、アメリカで働いてたんですよね。なので、その流れでいくと、アメリカの永住権を取るじゃない、普通は。だけど当時は、アメリカの永住権、10年ぐらいかかってたんです、申請してから取れるまで。
その時に、元旦那さんがカナダでワーホリやって、就労ビザで働いて、合計で4年ぐらい行ったことがある人だったのね。その人が「アメリカの永住権だけではなくて、カナダも出してみたら」と言ったから、じゃあカナダ3日ぐらいしか行ったことがないけど「出してみるわ」って言って出したら、カナダの永住権が通ったんですよ。アメリカの永住権は全然動かなかったんだよね。でも(カナダは)取れたからカナダにしようかって言ってバンクーバーに来た。
Q.バンクーバーに来て、アメリカと全然違うと感じるところ、驚きなどはありましたか?
アメリカでは東に行ったんですよ。で、バンクーバーは西なんですよ。ご存知の通り。カナダとアメリカの違いもあるけど、西と東の違いも結構あって、何か空気感というか、人も何か雰囲気も。
なんか、もっと東はね、忙しいんですよ。で、バンクーバーに来たら、すごいみんながゆっくりして、時間もゆっくり流れていたので、それはすごくびっくりしましたね。
あと、みんなすごい優しかったんですよ。何かね、それまでニューヨークに住んでたから、ニューヨークは結構厳しくて、なんか例えばね、ファーストフードとかに並んでるでしょ。何買おうかなと思って並んで見てるでしょう。そうすると、何か「あなた買うの?買わないの?」とか、お店の人に言われるの。なんかもたもたしているとハイ次とか言われちゃうし、ちょっと厳しかったんです。
バンクーバーに来たら、何かみんな優しかったんです。SINナンバー取るのもなんかすごい優しくて、みんなスタッフの人も「あっちに行ったらいいよ」とか、「どこから来たの?」とか、みんな優しかったし。なんでしょう、カナダっていいとこだなと思って。こんなにみんなに親切にしてもらって生活していけているから、これはどっかで恩返ししないとなって思いました。
コロナの時期をきっかけに企友会加入へ
Q.企友会に加入したきっかけは?
あのね、コロナの時に私は企友会に初めて加入したんですよ。だから、すごい最近なんですよ。
もっと前からビジネスやってたんだけれども、ビジネス団体に所属したりとかしてなかったし、何しろ自分の9時-5時の範囲内でやってたっていう感じだったんですね。子供も二人いて、そんなにいろんなことをできる時間がなかったんです。
でも、だんだん子供大きくなってきて、ちょっと時間的にも余裕も出てきたし。あと、コロナで出かけられなくなったでしょう、2020年ぐらい。あの時に、企友会もそれより前は、イベントとかは全部対面だったんですね。だから、そういうのに参加したかったら行かなきゃいけなかったのね。で、コロナ時にオンラインだったんです、1年間ずっと。その時に私、オンラインだったら参加できるなって思って。それで企友会の会員になって、いろんなイベントに参加するようになって、というのが(きっかけ)。
Q.どういった経緯で企友会の理事長になったんですか?
(コロナ期は)直接喋ったりする機会が少なくなっちゃってた時だったから、こういう機会を設けてくれる会というのはすごくありがたいなと思って。じゃあ、ちょっと運営する方を手伝ってみようかなと思って。
その時、猪田さんとはお友達だったんですよね。猪田さんが理事をやっているのを知ってたから、なんか「理事手伝ってもいいかも」とか言ったら、そしたら猪田さんが「やってくれるの?じゃあ是非!」と言ってくれて、それで理事になったんですね。
だから、普通の会員だったのは1年間で、そのオンラインのイベントに色々参加させてもらって、じゃあ自分も協力しようってすぐ思って、2年目から理事になったのかな。理事になって、事務局2年やって。それで、なんか知らないうちに自分が会長に(笑)
Q.企友会に加入してよかったことはなんですか?
良かったことは、やっぱりいろんな人と繋がった、いろんな知り合いが増えた。で、ビジネスにも良かった、私のやっているこのビジネスにも。じゃあうちの会社のビザ頼もうかなとか言ってくれる方もいたから、それもよかったけど。
でもそうね、やっぱりいろいろな方といろんな話が聞けたことがよかった。コロナの時だったから、どうやったら会社に補助金が入るとか、そういうのとか、やっぱり詳しい専門の人がセミナーしてくれたりとか。そういうのはすごく勉強になったし、あとはちょうど対面じゃないので、何かデジタルマーケティングに力を入れないといけないなと思った時に、そういうセミナーをやってくれたりとか。ちょうどコロナの時に、みんなビジネスオーナーが困っているようなことを、セミナーとか勉強会でやってくれたんですよ、企友会が。
そういう方の話を聞いて、結構皆さん親切で、もっと聞きたかったらどうぞって言ってくれて、個別に聞いたりとかできたので。そういういろんなつながりができて、それが企友会で良かった、参加して。
Q.企友会会長として、または個人として、日系コミュニティの未来をどう考えていますか?
日経コミュニティは課題が大きくいろいろありますが、大きいところが2つあって。
まず1つ目は、比較的若い人が団体みたいなところに所属しない風潮が最近は多い感じがしてます。今いろんなビジネス団体あるけど、どこの団体も見ると、割と年齢層高い人たちがやっている感じじゃない、イメージが。でも、そういう若い方たちにこそ、こう頑張って、日系ビジネスを盛り上げてほしいし、そういう方たちの話を聞きたい人だっていっぱいいるし、何かもっとアクティブに若い方たちができるような、やりたいなってコミュニティに入って、いろいろなことをやりたいと思ってくださる若い方たちが増えるといいなと思っていて。若い方も仕事をするよというときには、日系コミュニティで助け合うというのを利用したいなって思う人が増えるといいかなと思います。そこを活性化したいなっていうのが一つ。
あとは、自分が経験した「どの団体に入ったらいいのか分かんない」っていうのが、何かもうちょっとこう、それぞれこういうことをしているんだよというのがわかるというか、似たようなことをしている団体は、一緒に何かイベントを一緒にやるとか、いっそのこと一緒の団体にするとか、そういういろんな棲み分けとか整理するっていうのが必要なんじゃないかなとは思うので、そういうのをやれたらいいなと思います。やらないといけないというか。
バンクーバーの日本人へ一言「躊躇せず目標に向かって頑張る」
Q.今現在バンクーバーにいる日本人の方に一言お願いします。
なんだろうな、誰でもなりたい自分に頑張ればなれるんですよ、うん。で、そこの頑張り方がわからないとか、頑張りたいんだけど、ちょっと後押ししてくれる一言がほしいとか、そういう人はいっぱいいると思うんですよね。
でも、みんな頑張れば願いは叶うというか、やりたいと強く思えばやれるんですよ、と思うんですね。なのでそこを皆さん頑張ってほしいし、手助けが必要だったら必要だよって言ってもらえれば助けてくれる人がいっぱいいるので。そういうところは躊躇せずに、積極的に自分の方向に向かって、自分の行く目的というか、目標に向かって頑張っていただきたいなと思います。
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