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理事コラム:関税問題。カナダはカナダ、日本にはチャンス、ビジネスをもっと展開しよう|岡本 裕明
今回は、アメリカの関税政策が揺らす国際貿易の中で、日本とカナダの新たなチャンスについて、企友会理事の視点からコラムをお届けします。国際情勢の変化を背景に、個人事業主や中小企業にも広がる可能性を、現場感覚を交えて語ってくださいました。
アメリカの関税方針がもたらした波紋
アメリカの関税方針に世界各国は大いに振り回されている。カナダはそれまでアメリカの良き隣人だと思っていたのに恩を仇で返されたようなものかもしれない。このカナダ人の怒りは仮にアメリカと先々何らかの通商合意が出来たとしても心の底に深く傷がつき、長く忘れることはないだろう。
カナダにとっての日本との新しいチャンス
先日、カナダ人のシニアインフルエンサーが集まるある会合で私はこう述べさせて頂いた。「カナダもアメリカとまさかこのような状態になるとは思っていなかったに違いない。ただ、首相を始め、政府高官からはカナダが今までアメリカに頼り過ぎていたことを反省し、貿易などを通じてより広範な付き合いに変えていく方針だと述べられたことを踏まえるとカナダは日本との通商関係をより密接にする絶好のチャンスだと言える」と。
日本にも求められる視点の転換
同じことは日本にも言える。日本政府はアメリカとの関税交渉を口頭ながらも終えて安堵の空気が漂うが、日本はアメリカや中国といった大口の「取引先」にシフトし、それ以外の国との通商には必ずしも積極的だったとは思えなかった。カナダに対してもまだまだ日本からの投資のチャンスはあるし、カナダも日本に売り込めることはあるはずだ。
個人事業主にも波及する国際情勢の追い風
個人事業主が多い企友会のメンバーの皆さんには「そんな大所高所の話をされても…」と思われるかもしれない。だが、大枠で時の風が吹けば末端にもメリットがあるのは当然だ。カナダ人も面白いビジネスがないか、今、血眼になって探している。それを売り込めるかどうか、日本にはチャンス到来なのだ。
日本の強みは製品だけでなくサービスにも
個人的に思うのは日本の強みは製品(プロダクト)というイメージがあるのだが、サービスレベルでも世界最高水準にあると思っている。サービスとは必ずしも「おもてなし」ということに限らず、丁寧さ、納期、価格、コミュニケーション、フォローアップ、誠実さなど他国とは比較できない素養を持っている。ただ、時として「カナダ流」に馴染み過ぎてしまい、良さが打ち消されているケースが散見される。また日本的サービスをうまく表現できないケースもあるだろう。
カナダで日本人らしさを生かすビジネス展開を
日本の良さを示すには我々企友会のメンバーの様な前線で仕事をする人たちにこそ、そのチャンスがあるともいえる。日本人がアメリカに住むと「アメリカナイズ」するという。カナダに来る日本人も「カナダナイズ」されやすいのは分かるが、日本人としての本質を思い出し、にこやかに前向きにビジネスをすればカナダ人はきっと寄ってくるであろう。笑顔で前向きになりたいものだ。
ライター情報
岡本 裕明(企友会理事)
日本のゼネコンで不動産開発事業や秘書室勤務を経て1992年にバンクーバー コールハーバーで大規模総合開発に従事するために来加。2004年に同事業を個人買収し、プロジェクトを完遂。その後、マリーナ事業からシニアケア、更に日本の書籍販売事業など様々なビジネスをカナダ、日本で手掛ける。またブログ「外から見る日本 見られる日本人」は2007年から一日も休みなく続き、日々1万人程度の方々に読まれている。近年は教育事業にもシフトしながら新しい事業の発掘を目指す。
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